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土地相続の節税

2018.09.21

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 相続時にかかる相続税を少しでも低く抑えたいと思う方は多いのではないでしょうか。

 一般的に資産割合の大半を占めるといわれる不動産ですが、土地相続が行われる前に有効な対策をとることで相続税を少なくすることは可能です。そのためには、土地相続に関する正しい知識と確かな節税方法を実施する必要があります。平成27年に相続税引き上げになり基礎控除が大幅に下がりました。その結果、一般住宅のみ所有している人でも、対策を何もしないと相続税が発生するケースも増えてきました。今回は土地相続に対する対策方法について解説をしていきます。

土地相続の際の注意点

《まずは資産の確認から》

 土地相続の対策に向けてまず一番最初にやるべきことは、資産の確認です。相続税の課税対象になる資産は複数あり、課税対象となる資産をどの程度保有しているのか把握する必要があります。理由は、資産状況の確認がとれないと、相続税の予測ができないからです。相続税には基礎控除という制度があり控除内でおさまれば相続税を支払う必要はありません。そのため、まず資産状況を整理し控除におさまるのか、または超える可能性があるのか把握することが非常に重要です。

相続税の対象になる主な資産は次の通りです。

・金融資産(現金、銀行への預金、有価証券)
・不動産(宅地、建物、駐車場、賃借権等の権利)
・動産(車、家具、宝石、貴金属)
・各種権利(ゴルフ会員権、特許権)
・事業用財産(売掛金、機械、備品) など

《不動産の保有状況を確認》

 資産の中でも最も大きな金額を占めるのが不動産です。不動産というと最初に想定されるのは個人の自宅や敷地です。注意が必要なのは、他人に貸している土地や建物があった場合は、それらも相続対象になるということです。また相続対象になる不動産の中には賃借権や借地権などの権利も含まれますので見落とさないようにしましょう。
 保有している不動産の確認方法として有効なのは、「固定資産税納税通知書」の確認をすることです。これは毎年1月1日時点の不動産の所有者に対し、固定資産税を納めるための納付書を発行するものです。4月頃に所有者の手元に書類が届きますのでその書類を確認することで、ご自身が所有している不動産の把握をすることができます。その書類には所有している不動産の区分(土地か家屋かなど)や、土地の所在地や面積、建物であれば構造や建築年月日が記載されています。そして評価額といわれる相続税を算出する際に基準になる不動産価格が記載されています。この固定資産税納税通知書があれば、保有している不動産の大体の評価額を確認することができます。
 土地相続の対策をする際は、所有している不動産の把握が何よりも重要になりますので、忘れずに確認しておきましょう。

土地相続税の税額

《土地相続の税額》

相続税の税率は次の通りです。下記の通り取得金額が1,000万円以下から税率がかかります。都心部でなくても土地相続の際に相続税が課税される可能性があるのが読み取れます。

法定相続人の取得金額 税率 控除額
1,000万円以下  10% なし
3,000万円以下  15% 50万円
5,000万円以下  20% 200万円
1億円以下  30% 700万円
2億円以下  40% 1,700万円
3億円以下  45% 2,700万円
6億円以下  50% 4,200万円
6億円超     55% 7,200万円


《基礎控除額を確認しよう》

 基礎控除とは、特別な控除や特例を利用しなくても最初から一定額が控除される制度のことです。平成27年の相続税増税以前は、基礎控除額は「5,000万円+法定相続人の人数×1,000万円」でした。つまり、法定相続人が3人いた場合は、「5,000万円+3人×1,000万円」となり、基礎控除額は8,000万円です。被相続人の財産が8,000万円以内であれば基礎控除内ですので相続税を支払う必要がないという状況でした。
 しかし、平成27年の相続税増税により基礎控除額が大きく変わりました。増税後の基礎控除額は、「3,000万円+法定相続人の人数×600万円」です。つまり、増税前の例と同じく法定相続人が3人いた場合は、「3,000万円+3人×600万円」となり、基礎控除額は4,800万円です。増税前の基礎控除額8,000万円に対し、増税後は4,800万円、その差はなんと3,200万円です。この控除額だと、一般住宅しか不動産を所有していない家庭でも、地価が高いエリアであれば一つの不動産の評価額だけで基礎控除額を超えてしまう可能性も十分考えられます。そのため、土地相続が起こる前にいかに相続税対策を行えたかどうかが節税の分かれ道となるのです。

土地相続時の対策

 相続税が引き上がる中、土地相続に向けていかに事前に対策をうてるかが非常に重要になってきました。ここでは土地相続の相続税対策として最も有名な方法である「所有地でのアパート経営」を例にあげて節税効果を解説します。

《アパートを建築する》

 自宅以外に土地を持っている場合に、アパートやマンションなどの収益用不動産を建築する方法です。ハスウメーカーや不動産会社が「土地相続の節税対策にアパート経営を」というような見出しで広告宣伝しているので、ご存知の人も多いのではないでしょうか。
 なぜアパート経営が土地相続の節税対策に向いているのでしょうか。それは大きく二つの効果があるからです。「評価額の圧縮」と「負債を増やす」ということです。
 負債を増やすとは、アパートを建築する際に建築費を金融機関から借り入れする方法です。土地相続を含めた相続税の計算をする際に、この借入金が負債として「資産」に計上されます。遊休地などの土地相続をするとプラスの資産として資産計上されますが、そこにアパートなどを建築することで借入金をマイナス資産として計上できます。結果的に総資産評価を減らすことができるのです。
 評価額の圧縮については、現金の評価を減らそうという取り組みです。仮に1億円の現金を保有していれば、当然ですが1億円に対し税金が課税されます。この1億円を不動産に変えることで土地相続として相続税の対策になるのです。
 1億円の現金と1億円の評価額の遊休地を保有していた場合、2億円が課税対象です。しかし、遊休地に現金1億円を使ってアパートを建築すると次のような圧縮効果を見込めます。

 どのような仕組みか解説します。まず、遊休地にアパートを建築すると、その遊休地は「貸家建付地」となり評価が下がります。具体的には、借地権割合と借家権割合を乗じた割合が引かれます。借家権割合は一律30%ですが、借地権割合は路線価図に記載のある各地域ごとの数値です。

評価額1億円の遊休地に現金1億円を用いてアパートを建築した場合を例として、実際に計算してみます。
(借地権割合を70%、アパートの固定資産税評価額を6,000万円と仮定します。)

貸家建付地の評価額 1億円×(1-70%(借地権割合)×30%(借家権割合))=7,900万円
アパート評価額   6,000万円×(1-30%(借家権割合))=4,200万円
       合計 7,900万円+4,200万円=1億2,100万円


遊休地にアパートを建築することで、合計2億円の資産を1億2,100万円まで圧縮し、7,900万円の節税効果を生むことができました。このように、アパートなどの賃貸物件を建築することで、土地相続の際には大幅な相続税対策を見込むことができるのです。

土地相続税対策時の注意点

 土地相続の対策で不動産を活用する人は多いです。確かにすでに紹介した通り、上手に活用すれば高い節税効果を生み出すことができます。一方注意点もあります。

《不動産会社の口車に乗せられてはダメ》

 相続税対策でアパート経営をする人は非常に多いです。しかしそこには見えない落とし穴が潜んでいます。数値上は節税効果を得ることはできても、賃貸経営が予定通りに進むとは限りません。例えば賃貸アパートの場合、ハウスメーカーからアパート経営を勧められるがままアパートを建築することで、資産の評価額を圧縮することは確かに可能です。しかし、そこが本当にアパートの賃貸需要がある場所かどうかを見極めることは非常に難しいのです。少子高齢化の影響を受け全国的に空き家が増えています。総務省統計局の「住宅・土地統計調査」によると平成25年の空き家数は全国で820万戸にのぼっています。空き家率は年々上昇を続けており、2033年には全国の空き家率は約30%にまで達するといわれています。そのような市場の中で、本当に賃貸重要が見込め、安定的な賃料収入が期待できる立地かどうかを冷静に判断できないと、一時的な節税は仮に達成できたとしても将来的に空室による賃料収入不足で、返済に苦しむことになりかねません。

《売却価格は本当に適正?》
 保有不動産を売却し資産の組み替えを行うことは、土地相続の節税対策としては有効な手段です。注意すべき点は、売却する不動産の価格が相場と対比し本当に適当かどうかです。不動産を売却する際、多くの人は不動産会社に依頼します。しかし不動産会社には「買取会社」と「仲介会社」が存在し、それぞれ行う業務が違います。買取会社は不動産を安く買取り、価値を加えて市場に再販することで利益を出しています。一方仲介会社は、売主と買主と間に入り契約を成立させ成功報酬として仲介手数料を受領します。
 特別な事情があり1日でも早く不動産を売却する必要があるなら買取会社への買取依頼も選択肢としてはありでしょう。しかし、土地相続に向けて資産の組み替えを行う場合は、適正な価格で売却し活用に向けて現金化することが目的です。決して一社の不動産会社のみに頼りきりにならず、土地相続に向けた資産組み替えが目的であることをハッキリと伝え、適正な価格で売却活動をしてくれる不動産会社に依頼する必要があります。

まとめ

 土地相続をする際、いかに事前に有効な対策を打てていたかが非常に重要になります。保有資産の中でも土地をはじめとした不動産の割合が高い人が多いため、アパート経営などは昔から使用される手法です。しかし大事なのは、資産価値を下げずに節税対策を行うことです。賃貸需要のないところにアパートを建築すると、人口の少子高齢化による空室の問題に直接直面するリスクがあります。有効な節税方法は一人一人違います。重要なのは、土地相続に向けて自分にあった節税方法を見つけ、早期の対策を実施することではないでしょうか。