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読み物

第一種中高層住宅専用地域について

2019.03.19

読み物

都市計画が定められている地域では、用途地域が定められている場合があります。
この用途地域というのは、日常生活においては、通常、あまり意識されることはありません。しかし、不動産を購入したり、住む場所を探すなど、不動産取引を行う際にはその物件の用途地域がなんであるかは非常に重要な問題です。用途地域によって、その土地に建築できる建物の種類や用途が制限されている場合があるからです。
その結果、土地を買う場合には、用途地域によっては、当初予定していた建物を建築できないといったことにもなりかねません。
また、居住物件を探す場合でも、用途地域によって、将来、その周辺にどのような建物が建てられる可能性があるかが左右され、周囲の環境が大きな影響を受ける可能性があります。
本稿では、そのような用途地域とは具体的にどのようなものなのかを確認した上で、その中の「第一種中高層住居専用地域」というものがどのような地域なのか、また、具体的にそこではどのような建物の種類や用途の制限が設けられているのかについて、基本的なことを確認していきたいと思います。

はじめに

1)都市計画と用途地域
本来、土地をどのように利用するか、その土地上にどのような建物を建築するかは、所有者の自由のはずです。
ただ、それを放置しておくと、無秩序な建物建築や開発行為がなされ、その結果
①生活上の利便性の悪化や景観の悪化
②生活環境の悪化により、住みにくい街となる危険
③住居・繁華街・工場などが混在して、非効率的な都市開発がなされ、その結果、経済活動に支障をもたらすなど経済活動を阻害する危険
等が生じかねません。

そこで、このような無秩序な都市開発・建物建築がなされることを防止するために、都道府県は都市計画を定めて(都市計画法第5条)、市街化を推進する地域(市街化区域)と市街化を抑制する区域(市街化調整区域)とを分けることができるとしています(都市計画法第7条)。
通常は、この区域区分をするかどうかは都道府県がその必要性を判断して決定できることとされています。しかし、三大都市圏の一定の区域では、必ず市街化区域と市街化調整区域を分けなければならないとされています。

そして、都市計画法第13条第1項第7号は、市街化区域においては、原則として、用途地域を定めることとしています。
この用途地域とは、都市計画区域内の土地を、利用目的によって区分したものです。この用途地域毎に、建築基準法によって、その土地の用途の制限(用途制限)が定められています。

1.第一種中高層住宅専用地域とは

2)用途地域の種類
都市計画法第8条第1項第1号は用途地域として13種類を定めています。
この13種類の用途地域は大きく、住居系、商業系、工業系の3つに分けられます。
①住居系:第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域
②商業系:近隣商業地域、商業地域
③工業系:準工業地域、工業地域、工業専用地域
なお、用途地域は、従来は12種類でしたが、2018年4月の改正都市計画法の施行により、新たに田園住居地域が設けられ、現在は13種類となっています。

これらの用途地域における建物建築における制限は、建築基準法が定めています。また、建物取引の際の重要事項説明書においても説明を要する事項とされています。

(3)第一種中高層住居専用地域とは
第一種中高層住居専用地域は、住居系の用途地域であり、「中高層住宅に係る良好な環境を保護するため定める地域」とされています(都市計画法第9条第3項)。
すなわち、居住用のマンションやアパートなどの中高層の住宅建築を想定した地域ということができます。

なお、第一種中高層住居専用地域とは別に、第二種中高層住居専用地域というものも定められています。第二種中高層住居専用地域は「主として中高層住宅に係る良好な住居尾環境を保護するために定める地域」とされており、第一種との違いは、「主として」という留保がついている点です。
つまり、第二種の方が第一種よりも、用途制限が緩和されているわけです。

2,どんな建物が建てられるのか

第一種中高層住居専用地域に建築することが可能な建物については、建築基準法別表第二が定めています。具体的に、第一種中高層住居専用地域に建築することができる建物は以下の通りです。
①住宅(戸建て)
②店舗・事務所兼用住宅で、非住宅部分の床面積が50平方メートル以下、かつ、建築物ののべ床面積の2分の1未満のもの
③共同住宅(マンション・アパート)、寄宿舎、下宿
④学校等(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校、専修学校等)、図書館等
⑤神社、寺院、教会
⑥老人ホーム、保育所、福祉ホーム、老人福祉センター、児童厚生施設
⑦公衆浴場
⑧診療所、病院
⑨巡査派出所、公衆電話
⑩店舗等の床面積が500平方メートル以下で、かつ、2階建て以下のもので、その店舗の種類が日用品その他の物品販売店、喫茶店その他の飲食店、理髪店、建具屋などのサービス業用店舗、損保代理店、銀行の支店、宅地建物取引業者等のサービス用店舗であるもの
⑪自動車車庫で床面積が300平方メートル以内のもの
⑫税務署、警察署、保健所、消防署など

「住居専用地区」ですので、居住用の住宅、共同住宅が基本となっています。
その上で、人が居住する上で必要とされる施設である学校、コンビニエンスストアや商店街などに見られるような小規模な店舗・飲食店、病院などの医療施設、公共施設等に限って建築することが可能とされています。

3.建ぺい率や容積率は

(1)建ぺい率
用途地域においては、商業地域以外では全てにおいて、建ぺい率が都市計画において定められます。第一種中高層住居専用地域では、建ぺい率は30%、40%、50%、60%のいずれかとされており、都市計画の図面で確認することができます。

(2)容積率
都市計画で用途地域が定められたときには、全ての用途地域について都市計画で容積率が定められます(都市計画法第8条第3項)。
第一種中高層住居専用地区においては、その容積率は100%から500%の範囲内で定められていて、これも都市計画計画の図面で明記されています。

(3)その他の制限
①高さ制限
第一種中高層住居専用地区においては、絶対的な高さ制限は定められません。そのため、容積率の範囲内であれば4階建て以上の中高層マンションも建築することが可能となっています。
その意味で、まさに、高層マンション等を建築するのに適した土地ということができます。
②道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限
建ぺい率、容積率のほか、第一種中高層住居専用地域については、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、日影制限が適用されます。
・道路斜線制限とは、道路に面する建物の部分の高制限で、道路の採光や風通しを確保するための規制で、容積率に応じて20メートルから30メートルとされています。
・隣地斜線制限とは、隣地の採光や風通りを確保するための規制で、立ち上がりは20メートとされています。
・北側斜線制限とは、北側の道路や建築物に面している部分の高さの制限です。
第一種中高層住居専用地域では、立ち上がりが10メートルになるように設定されています。

4.建てられない建物は

第一種中高層住居専用地域では、既に述べた建築できる建物以外は建築することができません。
一般的なものを列挙すると、以下の通りとなります。
①日用品その他の物品販売店、喫茶店その他の飲食店、理髪店、建具屋などのサービス業用店舗、損保代理店、銀行の支店、宅地建物取引業者等のサービス用店舗以外の店舗
②その床面積が500平方メートルを超える店舗
③事務所等
④ホテル、旅館
⑤遊戯施設・風俗施設(ボーリング場、スケート場、水泳場、ゴルフ練習場、バッティングセンター、カラオケボックス等、マージャン屋、パチンコ屋、射的場、馬券・車券販売所等、劇場、映画館、演芸場、観覧場、キャバレー、ダンスホール、個室付浴場等
⑦工場・倉庫等(倉庫業倉庫、工場、自動車修理工場)
⑧卸売市場、火葬場、と畜場、汚物処理場、ごみ橋脚場など

要は、一部のものを除き第一種中高層住居専用地域に実際に居住する生活者が、その日常生活を送る上で必要最小限度の施設以外の事業用の建物・施設以外は、原則として建築できないといっていいでしょう。

5.第一種中高層住宅専用地域の市場価値は

不動産の市場価値は、その物件が具体的にどのような場所にあるかという立地条件や、形状、交通の便、接道などの条件によって決定されるため、一概にどの用途地域だから市場価値が高いとか、市場価値が低いとかを判断することは難しいといわざるを得ません。

ただ、一般論としていえば、第一種中高層住居地域は、住居地域とされているだけあって、住居など以外は生活に必要とされる公共的な施設等しか建築することができない地域であるため、周辺環境としては閑静な住宅街といっていいでしょう。
その意味では、マンションなどの高層住宅でありつつ、落ち着いた住環境を求める人にとっては第一種中高層住居専用地域は適した環境といえるでしょう。

ちなみに、平成29年の東京都における住宅地の基準地価格後順位一覧表によると、23区内の上位10件の内4件が第一種中高層住居地域の物件で、最も多いという結果でした(http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/kijunchi/29nen/04-09_koujuni_jutaku.pdf#search=%27第一種中高層住居専用地域+地価%27)。

まとめ

以上、第一種中高層住居専用地区について、その特徴や、実際の用途上の制限について概要をまとめてみました。
用途地域の中の住居系の13種類のなかで、マンションなどの高層共同住宅を建築する上では、第一種中高層住居専用地区か第二種中高層住居専用地区の2つが合理的な選択といえるでしょう。
その中で、閑静な環境を希望する場合には第一種を、活気がある街を希望する場合には第二種を選ぶという形で棲み分ける形になります。