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読み物

貸主は自分の好きなタイミングで契約を終了できるのか

2019.02.13

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不動産賃貸契約における貸主と借主の関係は、対等なものになっています。貸主は当然、借主がいなければ収入を得ることができませんが、老朽化するビルの建て直しや大幅なリノベーションを施すなどの施策のために、借主との契約を自分の都合で終わらせたいと思うこともあるでしょう。
特に、都心に不動産を所有している場合、地価の上昇は固定資産税額の増加をもたらします。仮に、高い賃料が得られるテナントが入っていなくても経営が成り立っていたビルが、固定資産税の増加によって収益性を上げなければ、見通しが暗くなってしまうことは十分に考えられるのです。
そこで、貸主は任意のタイミングで借主との契約を打ち切り、建物を建て直したり、リノベーションを施したりすることができるのでしょうか。法律上の決まりについてお伝えします。

1.賃貸契約中は勝手な契約終了ができない

まず、結論から言えば、賃貸契約中に貸主が勝手に契約を終了させることはできません。
貸主もテナントから収入を得ることで事業を軌道に乗せ、利益を得ているケースが多いです。特に、テナント(以下:店舗)において立地や広さは重要な条件で、収益に直結します。店舗の立地が良いことで固定客がついたり、店舗の内装に費用をかけたりしたのに、貸主の都合で契約を打ち切られてしまっては、借主は事業を継続することが困難になってしまいます。
借主は賃貸契約のもと、店舗で安定した運営ができると見込み、設備投資や造作を施している可能性もあります。そのような借主の権利を守るため、賃貸契約中は貸主が自分の都合で契約を一方的に破棄することはできないのです。

2.期間内契約の定めによって事前の告知を行う必要がある

では、貸主が借主との契約を破棄するためには、どのような手順が必要でしょうか。それは期間内契約の定めに従い、事前の告知を6か月前にすることです。多くの場合は最初に賃貸契約を結んだ時の内容に準ずることになります。
期間内契約を取り交わした場合、契約更新時以外に借主との契約を破棄したければ、事前に告知しなければいけないのです。
さらに、事前の告知で必ずしも、契約の解除ができるとは限りません。あくまでも借主と貸主双方の同意が得られた場合のみ、解約ができます。
もし、契約期間が後5年残っているのに「半年前に告知をするので出て行ってくれないか」と、事前に告知を行ったとしても、一方的に契約が破棄されることはありません。優先的に借主の権利が守られます。どうしても契約の破棄が必要である場合、貸主に違約金などを支払う義務が発生します。借主が本来得られたであろう利益を補填することで、ようやく解約することができるケースが多いのです。
このように、賃貸契約において借主の権利は保護されています。逆に、貸主になる場合、契約当初にリスクを確認の上、これから先の物件の運営プランを練っていきましょう。
半年前の告知だけでは、借主側が新しい店舗を見つけるまでの時間が十分でないこともありますし、現在の店舗よりも良い立地の物件を見つけることができないケースも多いです。
常識で考えても、経営が軌道に乗っている店舗を他の場所に移転したいと思う借主は、まずいないでしょう。
借主の経営状態が悪く、移転を検討しているタイミングならば、スムーズに交渉が進むこともあります。貸主としては、借主の毎月の経営状態をチェックしましょう。
お客の入りが良く、賃料もしっかりと支払われ、遅延もない借主に、半年前の告知で退去してもらうことは大変に困難だと言えます。
また、契約内容に契約期間の定めがある場合と、ない場合でも違ってきます。
例えば、契約の更新が3年ごとに行われる場合、半年前に更新拒絶通知を借主に宛てることが可能になっています。予め更新しない旨を伝えておくことで、契約を打ち切って建物を建て替える、リノベーションを実施するなどが可能になっています。
ただし、店舗物件は個人用の賃貸住宅と違い、長期の賃貸を前提に契約を行っていることもあります。
基本的には貸主が物件の運営を安定させるため、契約期間を短期で設定するのではなく、長期にしておくことも多いです。長期契約によって安定した賃料収入が見込めますし、退去の時は違約金が得られます。
そのような契約を結んでしまった場合、基本的には次の契約更新まで待つしかありません。
さらに、もっと難しいケースは、有期の契約期間を定めていない場合です。この場合は基本的にお互いの合意がない限り、借主はずっと物件を借り続けることが可能になっています。
これは借地借家法に則った規定であり、違法なものではありません、仮に、この状態で賃貸契約を終了させるとしたら、借地借家法上で正当な事由が認められない限りは非常に難しいです。やはり、違約金などを支払うことで、本来得られるべきであった店舗収入を補填し、代わりのテナントを探してもらうしかないでしょう。

3.貸主は借地借家法に則った契約を行う必要がある

このように賃貸契約において、借地借家法という法律が非常に大きな意味を持っています。民法も賃貸契約において重きを置かれることはありますが、色々な場面では民法よりも借地借家法が適用されることが多いです。
民法上では建物の賃貸契約の解除を行う場合、3か月前の予告でもよいとされています。しかし、実際の賃貸契約に伴う判例を見る限り、借地借家法に従う形で6か月前の告知が必要とされています。
よくある事例として、「駅前の老朽化したビルを建て替えたいので、そこに入っているテナントに退去してほしい」というものがあります。駅前、特に1階の部屋は飲食店にとって、これ以上ない良い立地です。にもかかわらず、一方的な通告で退去してほしいというのは、店舗側としてもたまったものではありません。
そこで、保証金として数ヶ月分の家賃だけではなく、本来得られるべきであった残り数年間の収益分を損害賠償として請求する会社もあるほどです。
中には、初めから損害賠償狙いで賃貸契約期間を定めず、あえて老朽化したビルにテナントとして入り、数年間の営業後に立ち退きによる違約金を得ようとする飲食店もあるほどです。
貸主は店舗が埋まるからと短絡的に契約するのではなく、「所有するビルがどれぐらいの期間、このままの状態で貸し出すことができるのか」「建物の耐久性や耐震性を慮って補強工事や耐震工事が必要なのか」「そういった工事を施せば、長期間貸し出すことができるのか」など、様々な観点から判断していく必要があります。

4.契約内容違反などがない場合、貸主からの解約は難しい

では、貸主がリスクを避け、賃貸契約期間中に解約を求めるにはどうしたらよいでしょうか。それは最初の賃貸契約の段階で、期間内解約の条項を設けておくしかありません。そうすれば、該当する期間内解約の条項に基き、賃貸借契約を解約することが可能になります。ただし、あくまでも妥当性がない場合の話ですが、裁判に持ち込まれる可能性があります。また、裁判でも必ず勝てるとは限りません。理不尽な理由で、一方的に契約の破棄を要求したとみなされることがあります。
基本的には借主の権利は非常に強いものがあり、賃貸契約の条項によほどの違法性が認められない限り、賃貸契約期間中の解約は難しいと考えておくべきです。

賃貸人による期間内契約破棄の正統的な理由として、以下のようなものが認められています。

・貸主本人にその建物以外の居住場所がない

貸主が自宅を震災などで失ってしまった。また、家族が増えたことにより、元々住んでいた物件が手狭になったなどの理由で、新しい住居が必要になることがあります。貸主が自分で自由に使える建物がなく、貸している物件を利用しなければ生活できない場合、退去を請求できるケースが多いです。

・明らかに違法な店舗経営を行っていた

例えば、風俗店や飲食店などは、建物内で営んではいけない契約を結んでいるケースが多いです。また、風俗店などは、地域によって営業できないこともあります。最近では、民泊物件として秘密裏に転用していたという事例もあり得るでしょう。そういった当初の契約に盛り込まれていない用途で店舗を利用していた、他の人間に又貸しをしていたというケースもあります。そういった場合、貸主側が退去を強制的に行っても認められるケースが多いです。

・貸主が物件内の店舗で、商売を行いたいと考えている

認められる可能性はやや低くなりますが、貸主自体も他に店舗を所有せず、その場所で自分が事業を行いたい場合、借主側が退去せざるを得ないケースもあります。

まとめ

借主と貸主の関係についてみてきましたが、テナントのオーナーと店子の力関係は、貸主であるオーナーの方が強いように思われがちです。しかし、実際は対等どころか、借主の方の権利が守られていることが多く、貸主がしっかりと契約を結んでいない場合、契約更新などのタイミングでない限り、借主が契約時の賃料のまま、借り続けることができるようになっているのです。
また、裁判では民法よりも借地借家法が参照され、判断が下されることが多いため、貸主としては借地借家法をしっかりと勉強しておくべきだと言えます。
建物を建て替える必要があるのに借主が中々出ていってくれない、他の店舗は退去しているのに1人だけ退去せず、そのために建て替えができずに困っている、現在の賃料で、別の借主と新たに賃貸契約を取り交わすことができないなど、最悪の事態も起こり得るのです。
長期間の賃貸契約を結んでいる店舗とは、良好な関係を築いていきたいと多くの人が思いうでしょう。ですが、時にはドライに徹し、数年間毎にきちんと契約更新を行うようにしましょう。高額な補償金を支払った上で退去してもらわなければいけないこともあるのです。